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作品に為り切れない言葉の数々をちまちまと載せていきます。
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心地良い風が、静かに吹いていた。実際には風音なんて聞こえてはいないのだけれど、優しく肌を撫でる感覚が、先程からずっと続いていた。
そこは不思議な空間だった。意識はしっかりしている筈なのに、まるで夢でも見ているかの様に現実味が無い。ふわふわとした微睡みの様だった。
その微睡みから抜け出そうと、今までの様に目を覚まそうと必死に意識を覚醒させようとするが、もう既に意識は覚醒状態である。
どうすることも出来ないまま、その不思議な空間を漂っていた。

ふと、あることに気付く。
現実感が無い筈のこの空間から見下ろした眼下の景色は、紛れもなく現実味を持った見知った街並みばかりだという事を。
それを自分は、音もなくただ眺めていたのだと。

これが正しい死後の世界だったりするのかしらね。
ふと口に出してそう呟いて見ても、それは音を成さずに風となって消える。一気にこみ上げた虚しさに、声にならない声で笑った。

俺は今度こそ本当に死んだんだろうか。


おっさん連作で書いてたけど、間が空きすぎてちょっと一から書き直したくなったから、投下しときます。

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